ある日のお灸教室に参加された方からこんな質問を受けました。
答えは――残念ながら、煙を吸っても効きません!ヨモギ(もぐさの材料)には薬効がありますが、煙を吸って肺からその薬効を取り入れることはできません。お灸は、体温以上の温熱刺激を体表(皮膚)に与えて不調を改善するものです。
もぐさも燃えるときにはやはり燃焼物質が発生します。燃焼=物質が熱と光を発して酸素と化合する現象【広辞苑】であり、もぐさの煙も完全に無害とは言えません。しかし、お灸の煙はタバコの煙のような有害物質(ex,発がん性)は含みません。また、煙を吸うことが目的であるタバコと違い、煙をダイレクトに肺に吸い込むことはしません。もちろん程度の問題ではありますが、数個所のお灸が健康上の問題になるとは考えられません。
ご自宅でお灸をされる方には、必要に応じて換気をしていただくようにお伝えしていますが、他にもいくつかの煙対策はあります。たとえば、煙がほとんど出ないように作られているお灸製品があり、お灸教室で体験していただいています(こちらは、臭いに敏感なペットがいらっしゃるご家庭にもおすすめ!)。また、びわの葉温灸で使う棒もぐさについても、煙を少なく抑えられる方法をお伝えしています。「効くツボ」探しも大事ですが、安心して続けられることがお灸の良さを感じられる大事なポイントです。
すでに「お灸女子」という言葉も生まれており、お灸をセルフケアに取り入れられる方が増えてきているようです。しかし、この「お灸の煙」についての御質問を受けたとき、もっとお灸のことを知ってもらわねば!と感じました。お灸教室は、私にとっても一般の方から「お灸についての疑問」を直接うかがえる大事な機会。気づきの多い楽しい時間です。あなたが「知りたいこと」はどんなことでしょうか?
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