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​症例〔突発性難聴・耳鳴り〕

当治療室の症例の一部を紹介しています。

同じ病名や症状であっても、効果には個人差があります。

*このページは2022年に追加作成しました。2021年後半以降の症例を掲載しています。​

​症例17  突発性難聴 低いモーター音と水が流れる音

Case17 sudden hearing loss with tinnitus.jpg

来院者: 50代女性  期間:2023年2月~3月  通院回数:6回 頻度:1週間に2回  ​ 症状: ご来院の2週間前に右耳に突発性難聴を発症。耳鼻科にてステロイドの点滴を受け、その後服薬治療(ステロイド、血管拡張剤など)を継続している。聴力検査にて聴力は80%まで回復しており、生活での不便はかなり減ってきている。耳鳴りも、静かな時に低いモーター音などが聞こえる程度まで改善。「突発性難聴は初期を過ぎると改善しないというので今のうちに(耳鼻科通院以外にも)できることはしておきたい」と、来院された。 ​施術と経過: 1診目 首、肩、背中に触れると右側(患側)に緊張の強い部分が複数ある。骨盤と足のツボを使いそれらの緊張を改善。次に、手足のツボで側頚部と顎関節を緩めた。置鍼(効果を高めるために鍼をすぐ抜かずにおくこと)している間に、「耳鳴りの音色が変わった」。施術後「右肩が軽い」。 2診目 前回の施術後、耳鼻科にて聴力は95%にまで改善。日常生活では「会話の中で相手に聞き返すことがなくなった」。1診目と同様の方針で施術。 **3診目の後、「聴力は生活に支障がない程度まで回復している」ので、耳鼻科の通院が終了になった(10日分の薬の追加処方あり) 4診目 テレビの音が「小さい音量でも聞こえるようになっている」。静かな時にはやはり耳鳴りがあるけれど、音が少し小さいと感じることもある。 6診目 聴こえの不便はない。ご本人より「静かな時の耳鳴りは残っているけれど、これくらいなら大丈夫そうなので様子をみたい」とのことで、施術を終了とした。 ​まとめ: 耳鼻科の通院と併用しながらの鍼灸施術。薬の効果もあったと考えられるが、施術中や施術直後に感じられた耳や首肩の変化から、ご本人より「鍼が効いたと思う」との感想をいただいた。「耳に影響を与える」首肩こりの改善をベースに施術を組み立てたところ、慢性的であった肩こりが初回の施術で大きく軽くなり、耳の状態に変化がみられた。

​症例24  突発性難聴 耳のつまり感と低音域の聞こえにくさ

Case24 sudden hearing loss with sensation of fullness in the ear.jpg

来院者:40代女性 期間:2023年7月 通院回数:2回 通院頻度 : 1週間に2回 症状: 左耳がつまっている感じが1週間ほど続いた後、スマホの発信音がいつもより低音に聴こえだしたため耳鼻科を受診。服薬治療を8日間(血流改善薬、のちにステロイドを追加)行ったが、症状は徐々に悪化。大きい病院へ転院したところ、すぐに1週間入院して高圧酸素療法を受けるように指示されたが、家庭の事情で入院ができない。 そのため通院で服薬治療をすることになり(加えて可能な日は通院で点滴もする)、この日もステロイドの点滴を受けた。しかし耳のつまり感には変化はない。その翌日に当院を受診(最初につまり感を感じてから約2週間後)。 「このつまり感がこのままずっと続いてしまうのはつらい」。 施術と経過: 首・肩・背中に触れると左耳のすぐ後ろに圧痛を感じるポイントがある。その部位の緊張を緩めるために臀部と足に鍼としたところ、「左耳のつまり感が半分くらいになった」。他にも患側(左側)には耳に影響する緊張がみられたので、手や腰のツボに鍼をして調整した。 2診目(5日後) 来院時、前回の施術中に10→5に減少したつまり感は「その後2~3に減少している」とのこと。それに伴い低い音の耳鳴りもだいぶ小さくなった(この間、服薬は継続)。スマホの発信音も以前の聴こえ方に近づいている。前回と同様の方針で施術をした。 **2診目の10日後、「聴力検査の結果も改善した。耳のつまり感や耳鳴りもほぼ完治している」。その後「たまにあった耳のつまり感もなくなった」と、経過をLINEで伺った。 まとめ: 突発性難聴では首肩こりを感じているケースが多いけれど、本件では自覚がありませんでした。しかし、そんな場合でも詳細に確認すると、ご本人が気づかない緊張点が見つかります。その部位を緩めた時に自覚症状(圧痛点の状態や耳のつまり感)の変化が見られたことから、服薬治療と併用ではありましたが、鍼灸施術の効果があったと考えられます。

​症例26 副鼻腔炎後に残った顎の痛みと聴力低下

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来院者:10代女性 期間:2023年6月 通院回数:2回 通院頻度:1週間に2度 症状: 来院1か月半ほど前に副鼻腔炎を発症。その後副鼻腔炎は治ったが同時に起こった左顎の痛みと左耳の聴力低下が改善されない。 顎の痛みは1年半ほど前から時々起こっており、つらい時は歯科へ相談していた。夜間の噛みしめのためか、起床時に痛みが強い。 聴こえの状態は、水の中にいるような感覚があり、駅の改札やスーパーなどの雑音が大きい場所で相手の声が聞き取りづらい。聴力検査では低音域30~40db。メチコバール、アデホスコーワを処方されているが、改善がみられない。 施術と経過: 首を左右に動かしてもらうと可動域に左右差があり、左側に緊張が強いことがわかる。肩・背中も左側に緊張が強い。そのなかで顎や聴こえに影響する部分を、手足・臀部のツボを使い緩めたところ、施術後は首の可動域が左右で同じになり顎の痛みもほぼなくなった。 2診目 1診目以降、起床時の顎の痛みはない。しかし、噛む動作ではこめかみやエラが痛む。また口の開きづらさもある。聴こえについては、雑音の中でも正常に聴こえるようになった。前回と同様の方針で施術。こめかみとエラの痛みが解消され、口を開けられるようになった。 **顎の痛みが解消され、聞こえの不自由がなくなったので、2回目の施術をもって鍼灸はいったん終了し、様子をみることにする(遠方からの通院継続が困難というご家族の事情による)。 この時点で日常生活での聴こえの不自由はないものの、聴力検査ではまだ聴力の左右差が少しあったのでかかりつけ耳鼻科の通院は継続された。2か月後に「耳鼻科通院も終了」と、ご連絡をいただいた。 まとめ: 副鼻腔炎後に耳の症状が残ってしまったケース。耳の症状には肩や顎のコンディションが影響することが多いが、以前からかみしめ癖があり、中学生ながら肩こりの自覚症状もあったので、原因を絞り込みやすかった。その結果として、使用するよりツボの数もより少なく、症状を改善することができた。

​症例31 右耳の聴力低下と閉そく感

Case31 Sudden hearing loss with stuffing sensation in the ear.png

来院者:40代女性 期間:2023年10月 通院回数:2回 頻度:1週間に1度   症状: 6日前に鼻づまりに対して耳抜きをした時に右耳の閉塞感が出現。それ以来聴こえの低下を感じ、こそこそとした話し方をされると聞き取りにくい。また、自分の声も常にこもって聴こえる。発症5日後に耳鼻科を受診したところ、250Hzと500Hzで35db。「軽度の突発性難聴」と診断され、プレドニン、アデホスコーワ、メコバラミン、レパミピドを処方された。翌日当院へ来院。   施術と経過: 慢性肩こりがあり、どちらかというと左肩が凝っているとの自覚。しかし、体に触れると首の右側面と右耳の周囲に緊張が強いポイントがいくつか見つかった。その部位を緩めるために、骨盤、足、背中、手首などのツボに順に鍼をした。 帰りがけ、右の肩がとても軽い。 2診目(1週間後) 右耳のつまり感はピーク時の10→1~2に減少しているが、気圧や疲れなどによって少し強くなることがある。2日前の耳鼻科受診では、聴力は正常範囲に戻っていたため、プレドニンの処方は終了。 初回と同様の方針で施術。施術後、「つまり感は1~2のままだけれど、“クリアな感じ”があります」。 2週間後、「閉そく感、自分の声がこもる、他人の声が聞こえにくいなど、症状は全てなくなり元の状態にもどっている」とLINEで経過を伺った。 まとめ: 耳鼻科処方薬(発症6日目より)と鍼灸(発症7日目より)併用の症例。薬の効果もあったと考えられるが、 (1)患者様が実感されていたように、患側の肩こりが施術で大きく解消できた点、また(2)2診目の施術直後に閉そく感に変化(クリアな感じ)が見られたことから鍼の効果もあったと考え、症例として報告させていただくことにした。患者様からも、「薬、鍼両方の効果があったと思います」との感想をいただいている。

​症例34 風邪をひいた後の左耳の閉そく感と難聴

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来院者:70代女性 期間:2023年11月~12月 通院回数:7回 頻度:1週間に2回 症状: 来院2週間前に風邪をひいた。熱が下がった後も鼻づまりだけが残っていたところ、突然左耳に強い痛みが起こり、耳だれが出た。それ以来耳の閉そく感のため聴こえが低下し、また自分の声が響く。耳鼻科で耳だれの処置および抗生剤などの処方を受け、耳管処置(通気など)で10日ほど通院しているが、改善ペースが非常に遅いので不安になり、他の方法として鍼灸を考えた。 聴力検査では反対側(右)の聴力も低下していたことも判明。気づかないうちに左耳中心で生活していたようで、左耳の不調により不便が大きい。 施術と経過: 首すじや肩上部で左側に緊張が強く、耳への血流に影響していると考えた。また、発症時に鼻づまりがあったことや、左頬には押圧するとその周囲にぼわ~んと響くところがあることから、鼻づまりが耳へ影響している可能性も考え、ツボをえらび施術。背中、手足、および臀部のツボを使った。 2診目 前回施術の翌日、耳が「今までになくクリアになった」とのこと(その翌日には、元の状態に戻ってしまった)。 3診目 1週間前と比べて閉そく感が少ない。そばにいても小さくしか聴こえなくなっていた飼い猫の声が少し大きく聞こえることもある。 5診目 テレビの音が以前より聴こえやすい。 これ以降、施術間隔を1週間に1回のペースに広げる。 6診目 閉そく感はだいぶ少なく、10→3。人と話すとき、注意深く耳をかたむけなくても相手の言葉が聞き取れる。自分の声のこもり感はまだある。 7診目 左頬を押圧してもぼわ~んと響かない。自分の声のこもり感もだいぶ改善したので「もう大丈夫だと思う」。ここで、いったん鍼灸は終了。 **この3週間後に、「閉塞感、聞こえにくさ、声のこもり感はほぼ消失している」と、経過をうかがった。 まとめ 首肩まわりのコリと耳の症状は関連性が大きい。加えて、本症例では風邪をひいていたことによる鼻から耳への影響も考えて施術をした。週に2回というペースで集中的に施術を繰り返すことができたことも、スムーズな改善につながったと思う。

​症例40 突発性難聴 聴力回復後に残った耳のこもり感

Case40 Stuffy ear causde by sudden hearing loss_edited.jpg

症状: 左耳のつまり感が1週間ほど続いた後、聴こえが悪くなり耳鼻科を受診。突発性難聴(低音域のみの聴力低下・軽度)と診断されたが、服薬治療(ステロイドなど)で聴力は戻った。当院へは、耳のこもり感(飛行機に乗ったときに感じるようなこもり感があり、自分の声が響いて聞こえる)および耳の後ろの「コリ」を主訴に、発症から2週間後に来院。インターネットで「鍼が突発性難聴に良い」と知って鍼灸院を検索された、とのこと。 来院者:20代女性 期間:2024年3月 通院回数:1回 施術と経過: 座った状態で首の動きを確認したところ、左首のつまり感のため左に振り向きにくく、左首のつっぱり感のために首を右側に倒しづらい。また、左耳の前後に圧痛の強い場所がある。 これらの緊張を緩めて内耳の血流を改善することを目指した。 首の緊張を改善するためにふくらはぎのツボ、次に背中のツボに鍼をしたところ、首を左右同じように動かせるようになった。 また、耳の前後の緊張を調整するために、手首のツボに鍼をした。 この1週間後に、左耳のこもり感と「コリ」は消失している、との経過をうかがうことができた。 まとめ: 患側(左側)では耳、首、肩の緊張が顕著であり、また、耳の「コリ」という自覚症状以外にも複数の圧痛点を確認した。 服薬治療と併用であったが、これらの緊張を調整することで内耳の血流が改善され、こもり感をより早期に解決できたと考えられる。

症例について

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同じ症状名であっても、改善には個人差があります。

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