症例17 突発性難聴 低いモーター音と水が流れる音

来院者: 50代女性 期間:2023年2月~3月 通院回数:6回 頻度:1週間に2回 症状: ご来院の2週間前に右耳に突発性難聴を発症。耳鼻科にてステロイドの点滴を受け、その後服薬治療(ステロイド、血管拡張剤など)を継続している。聴力検査にて聴力は80%まで回復しており、生活での不便はかなり減ってきている。耳鳴りも、静かな時に低いモーター音などが聞こえる程度まで改善。「突発性難聴は初期を過ぎると改善しないというので今のうちに(耳鼻科通院以外にも)できることはしておきたい」と、来院された。 施術と経過: 1診目 首、肩、背中に触れると右側(患側)に緊張の強い部分が複数ある。骨盤と足のツボを使いそれらの緊張を改善。次に、手足のツボで側頚部と顎関節を緩めた。置鍼(効果を高めるために鍼をすぐ抜かずにおくこと)している間に、「耳鳴りの音色が変わった」。施術後「右肩が軽い」。 2診目 前回の施術後、耳鼻科にて聴力は95%にまで改善。日常生活では「会話の中で相手に聞き返すことがなくなった」。1診目と同様の方針で施術。 **3診目の後、「聴力は生活に支障がない程度まで回復している」ので、耳鼻科の通院が終了になった(10日分の薬の追加処方あり) 4診目 テレビの音が「小さい音量でも聞こえるようになっている」。静かな時にはやはり耳鳴りがあるけれど、音が少し小さいと感じることもある。 6診目 聴こえの不便はない。ご本人より「静かな時の耳鳴りは残っているけれど、これくらいなら大丈夫そうなので様子をみたい」とのことで、施術を終了とした。 まとめ: 耳鼻科の通院と併用しながらの鍼灸施術。薬の効果もあったと考えられるが、施術中や施術直後に感じられた耳や首肩の変化から、ご本人より「鍼が効いたと思う」との感想をいただいた。「耳に影響を与える」首肩こりの改善をベースに施術を組み立てたところ、慢性的であった肩こりが初回の施術で大きく軽くなり、耳の状態に変化がみられた。
症例24 突発性難聴 耳のつまり感と低音域の聞こえにくさ

来院者:40代女性 期間:2023年7月 通院回数:2回 通院頻度 : 1週間に2回 症状: 左耳がつまっている感じが1週間ほど続いた後、スマホの発信音がいつもより低音に聴こえだしたため耳鼻科を受診。服薬治療を8日間(血流改善薬、のちにステロイドを追加)行ったが、症状は徐々に悪化。大きい病院へ転院したところ、すぐに1週間入院して高圧酸素療法を受けるように指示されたが、家庭の事情で入院ができない。 そのため通院で服薬治療をすることになり(加えて可能な日は通院で点滴もする)、この日もステロイドの点滴を受けた。しかし耳のつまり感には変化はない。その翌日に当院を受診(最初につまり感を感じてから約2週間後)。 「このつまり感がこのままずっと続いてしまうのはつらい」。 施術と経過: 首・肩・背中に触れると左耳のすぐ後ろに圧痛を感じるポイントがある。その部位の緊張を緩めるために臀部と足に鍼としたところ、「左耳のつまり感が半分くらいになった」。他にも患側(左側)には耳に影響する緊張がみられたので、手や腰のツボに鍼をして調整した。 2診目(5日後) 来院時、前回の施術中に10→5に減少したつまり感は「その後2~3に減少している」とのこと。それに伴い低い音の耳鳴りもだいぶ小さくなった(この間、服薬は継続)。スマホの発信音も以前の聴こえ方に近づいている。前回と同様の方針で施術をした。 **2診目の10日後、「聴力検査の結果も改善した。耳のつまり感や耳鳴りもほぼ完治している」。その後「たまにあった耳のつまり感もなくなった」と、経過をLINEで伺った。 まとめ: 突発性難聴では首肩こりを感じているケースが多いけれど、本件では自覚がありませんでした。しかし、そんな場合でも詳細に確認すると、ご本人が気づかない緊張点が見つかります。その部位を緩めた時に自覚症状(圧痛点の状態や耳のつまり感)の変化が見られたことから、服薬治療と併用ではありましたが、鍼灸施術の効果があったと考えられます。
症例26 副鼻腔炎後に残った顎の痛みと聴力低下

来院者:10代女性 期間:2023年6月 通院回数:2回 通院頻度:1週間に2度 症状: 来院1か月半ほど前に副鼻腔炎を発症。その後副鼻腔炎は治ったが同時に起こった左顎の痛みと左耳の聴力低下が改善されない。 顎の痛みは1年半ほど前から時々起こっており、つらい時は歯科へ相談していた。夜間の噛みしめのためか、起床時に痛みが強い。 聴こえの状態は、水の中にいるような感覚があり、駅の改札やスーパーなどの雑音が大きい場所で相手の声が聞き取りづらい。聴力検査では低音域30~40db。メチコバール、アデホスコーワを処方されているが、改善がみられない。 施術と経過: 首を左右に動かしてもらうと可動域に左右差があり、左側に緊張が強いことがわかる。肩・背中も左側に緊張が強い。そのなかで顎や聴こえに影響する部分を、手足・臀部のツボを使い緩めたところ、施術後は首の可動域が左右で同じになり顎の痛みもほぼなくなった。 2診目 1診目以降、起床時の顎の痛みはない。しかし、噛む動作ではこめかみやエラが痛む。また口の開きづらさもある。聴こえについては、雑音の中でも正常に聴こえるようになった。前回と同様の方針で施術。こめかみとエラの痛みが解消され、口を開けられるようになった。 **顎の痛みが解消され、聞こえの不自由がなくなったので、2回目の施術をもって鍼灸はいったん終了し、様子をみることにする(遠方からの通院継続が困難というご家族の事情による)。 この時点で日常生活での聴こえの不自由はないものの、聴力検査ではまだ聴力の左右差が少しあったのでかかりつけ耳鼻科の通院は継続された。2か月後に「耳鼻科通院も終了」と、ご連絡をいただいた。 まとめ: 副鼻腔炎後に耳の症状が残ってしまったケース。耳の症状には肩や顎のコンディションが影響することが多いが、以前からかみしめ癖があり、中学生ながら肩こりの自覚症状もあったので、原因を絞り込みやすかった。その結果として、使用するよりツボの数もより少なく、症状を改善することができた。
症例について
当治療室の症例の一部を紹介しています。
同じ症状名であっても、改善には個人差があります。