症例〔足の症状〕
当治療室の症例の一部を紹介しています。
同じ病名や症状であっても、効果には個人差があります。
*このページは2022年に追加作成しました。2021年後半以降の症例を掲載しています。
症例10 階段の上り下りで痛みが起こる膝痛
来院者: 60代女性 期間:2022年3月~8月 通院回数:9回 通院頻度:10日に1回 症状: 膝の不調は10年ほど前から。整形外科のレントゲンにて、両膝とも軟骨がすりへっていると言われたが、「だましだまし、使ってきた」。1年前に右膝が急に曲がらなくなってから、ヒアルロン注射と鍼灸(他院)で対処してきた。平地を歩く際は問題ないけれど、階段の昇り降りで痛みがある。趣味の登山をできれば長く続けたい。 施術と経過: 膝の痛みは両足にあるが、右膝のほうが強い。腰~下肢全体の状態をチェックしたところ、反対側の左腰~左股関節に強い緊張がみられた(整形外科レントゲンで、「関節窩が小さい」との指摘あり)。左股関節の調子も整えながら、症状が重い右膝から改善を目指す方針とした。 1診目 臀部のツボに鍼をして、膝の中心軸を整えた。加えて、手や足のツボに鍼をして左股関節の緊張を緩めた。 2診目 立位からしゃがむ時に右膝にあった「ピキッ」という鋭い痛みが消失(代わりに「ギリギリ感」があらわれた)。階段を上るときの痛みは消失。下りる時はまだ痛い。 3診目 来院時、しゃがむ時の「ギリギリ感」は弱くなり、また頻度も減っていた。 4診目 来院時、階段では上りと降下りの両方が痛みなくできるようになっていた。しゃがむ時の右膝の痛みと「ギリギリ感」もピーク時の五分の一程度に減少している。左膝も調子がよい。 5診目以降 膝の調子を維持するための施術を、約3週間ごとに継続。膝の痛みなく、登山を楽しめている。 まとめ: 膝痛では、膝そのものに鍼をするのではなく、他の部位の状態を改善し膝が動きやすくなるようにする。この症例では、主に臀部や反対側の股関節の調子を整えることで、膝の状態が改善された。
症例12 足の外側面の痛み
来院者: 50代女性 期間:2022年10月~10月 通院回数:4回 通院頻度:1週間に2回 症状: 2か月前から左下肢が痛みがある。大腿は外側、下腿は外側と脛部がズキズキする。椅子から立ち上がる時や歩行時(左足に重心がかかる時)に痛む。就寝時は、(左側が圧迫されると痛くなりそうな気がするため)左側を上にして側臥位をとっているが、左側に痛みがでる。接骨院で電気とマッサージを受けて、痛みの範囲はピーク時より少しずつ狭くなってきたが、痛みは毎日ある。症状が長引いているため他の方法として鍼灸を考えた。 施術と経過: 1診目 左右の下肢外側に触れると、左足外側の緊張が強い。その部位を緩めるために膝と腰に鍼をした。骨盤の高さの左右差があったので整体で整えた。施術後、椅子から立ち上がる動作で痛みが弱くなった。 2診目 来院時、前回施術日から3日間は痛みがなかったが、「今朝からまた少し症状が出ている」とのこと。前回と同様の施術に肩甲骨の内側のツボを加え、左下肢にかかる負担を少なくして。施術後、「立位が安定して楽な感じがある」。 3診目 患側の腰の硬さに対して、臀部のツボにも鍼をした。 4診目 前回施術以降、症状を気にすることなく動けていることが多い。左股関節の側面に少し違和感があるが、下腿の症状は出ていない。 前回までと同じ施術行う。骨盤の高さは若干の左右差があったので、整体で調整するとともに、その状態を維持できるような施術を鍼で加えた。施術後、立ちやすい感覚があるとのこと。 少し様子を見てみたいとのご本人の希望があり、再発があれば連絡していただくということで施術を終了した。 まとめ: 農業をされているため、日頃から腰~下肢を常に酷使されている方。発症前から両下肢とも外側に体重がかかりがちであることを自覚されておりインソールなどを使っていたそうだが、初診時には左足の緊張がとても強かった。2か月ほど続いていた症状だったが、その部位の調節をすることで改善が見られた。
症例29 3か月前からの かかとの痛み
来院者:60代女性 期間:2023年9月 通院回数:1回 症状: 3か月ほど前から左足のかかと(足底および内外側面)の痛みが続いている。歩行などで体重がかかると痛むので、患部に湿布薬を貼ったり、厚みがある靴下をはいたり、かかとへの衝撃が少ない靴を履いたりして対処している。当院へは膝痛を主訴に来院。主訴である膝痛への負荷を減らすためにかかとの施術を行った。膝痛の施術は継続中。 施術と経過: 痛みを感じる部位から、仙骨に問題があると考え関連するツボに鍼をした。かかとの内外側はピンポイントで痛む部位があり、その部位に影響を与える後頚部の状態を確認した。特徴的な緊張がみられたので鍼をした。 2週間後に来院された時に、「(前回の)施術の2日後よりかかとの痛みが全くなくなっている」との経過をうかがった。 まとめ: かかとの痛みは患部以外に症状がある場合も多く、この症例では仙骨や頚部が原因であった。原因点を調整することで、大きな改善が見られた。
症例42 膝の外側の痛み 膝の曲げ伸ばしで鋭い痛みが起こる
症状: 外出時にいつもと違う歩き方をしていたら(日常生活の中で少しでも足腰を鍛えたいと思い、腰を反らし、膝をしっかり伸ばして歩いた)、左膝の外側に違和感が現れ、数日前から悪化している。膝の曲げ伸ばしをする時に鋭い痛みが起こるため、階段の昇り降り、しゃがむ動作だけではなく、椅子に座るとき・椅子から立ち上がる時にも痛む。歩行時にも痛むので、健側(右足)を頼りにゆっくりと歩いて来院された。 来院者:50代女性 期間:2024年3~4月 通院回数:2回 通院頻度:1週間に2回 施術と経過: 初診: 鋭い痛みは膝にあるが、同時に左足全体が重い。まずその負担を軽減するために足の甲のツボに鍼をしたところ、足が軽くなった分、膝を上げやすくなった。 左足のもも裏の緊張が強い。その部位を緩めるために腰と膝裏のツボに鍼をしたところ、施術ベッドから立ちあがる時の膝の痛みが減少。治療室内で歩いていただくと、来院時より痛みなく歩くことができた。 2診目(初診の3日後): 前回より調子良く過ごせている。歩行は問題なく、早歩きもできている。しかし、階段を降りる時はまだ膝が痛むため、横向きで一段ごと両足をそろえながら降りている。また、椅子に座った時に患側(左足)のもも裏からお尻までの範囲にボワーっというしびれ様の感覚が広がるとのこと。 前回と同様の施術に加え左腰のツボに鍼をすると、ボワーっという感覚は大きく軽減し「左足が軽く、膝も曲げられる」。 「これなら大丈夫そう」とのことなので、ストレッチなどのセルフケアをお伝えして、施術を終了した。 まとめ: 膝の痛みでは、膝関節そのものの故障が原因ではないことも多い。本症例もハムストリングス(外側)の過緊張が膝痛の原因になっており、その部位を緩めることを中心に施術をしたところ、膝の痛みを改善することができた。